フェルデンクライスによるアプローチ

フェルデンクライス・メソッドは、動きと感覚を使ったレッスンによって、人の可能性を最大限に引き出すことを目指すソマティック・エデュケーション。このメソッドで局所性ジストニアへのアプローチを試みているのは、フェルデンクライス・ジャパンのかさみ…

連続した戦略2 フィットネス及び学習に基づく感覚運動及び記憶訓練プログラム

神経系に認められる歪みを正常化するために考案された、特別な治療手段による複数の再訓練方法を組み合わせたもの。訓練は、有酸素運動、脳の活動を高めるためのコンピュータ・プログラムの実施、そして以下の逐次訓練によって行われる。 ○前向きの思考をす…

再訓練の連続した戦略1 シャマーニュの手順

複数の動作の再訓練の結果を連鎖させる、フランスのPTシャマーニュの治療手順は、筋肉と姿勢バランスの回復から始まり、楽器を用いての訓練に移行するもの。彼の考えるリハビリは、罹患部位のみでなく全身を包括的に、身体面と心理面の双方を考慮すべきとい…

感覚運動再帰訓練

カンディアが開発した感覚運動再帰訓練(SMR)は、感覚系と運動系を再構築し、そのバランスの再調整を目指すもの。ジストニアを発症している手の代償指(患指の代償動作として代償性伸展や随伴性屈曲が現れる指)にスプリント(関節補正具)を一つまたは複数…

スローダウン・エクササイズ

サカイが2006年に提起したスローダウン・エクササイズの訓練手順は、次の通り。 1.ジストニア症状が現れる音楽作品を選ぶ。 2.メトロノームを使って、ジストニアによる運動障害が現れなくなるテンポまで、演奏のテンポを下げる。その演奏テンポを記録し…

3.音楽的な動作特異性を考慮した訓練

実際に楽器を用いて再訓練を行う際の難点は、楽器練習中にジストニアの症状が現れることを避けようとしてしまうこと。筋緊張や代償作用が生じたり、また自由に動作することなく一連の動作を反復しても意味がない。そのため、楽器を用いた訓練方法は、原則と…

2.向き合い方

現在可能な手段を用いる限りでは、長期間に及ぶリハビリテーションを伴うことを理解しておかねばならない。どの方法でも、疲労感や大きな改善が見られないことを理由に治療を脱落するケースは絶えない。ジストニアは突然回復するものではないこと、変化を回…

発症後の改善策1 基本的な注意点

1.音楽家のジストニアは、脳に問題があるが、病変はない。非常に高度なレベルの演奏を何年間も続けた結果、脳が持てる力を最大限に発揮し続けて、極限状況にさらされてきた特殊な状況において、いくつかの間違いが脳に取り込まれたということ。体系的な練…

ジストニアの予防対策

テラッサ研究所のディレクターらは、これまでの研究結果に基づき、ジストニアの発症を予防するために、音楽家が考慮すべき内容を以下のようにまとめた。1.技術的な上達を目指すだけでなく、心身全体に注意を払うべきこと。楽器演奏に関する衛生概論(姿勢…

変化4 運動プログラミングの欠陥

音楽家のジストニアにおける奇妙な特徴は、発症の非常に強い特異性と言われる。例えばギター演奏で、上昇音階のアルペッジョは非常に困難なのに、同じ押弦位置と指の組み合わせで、同じ音で構成された下降音階のアルペッジョは問題なく演奏できる場合がある…

変化3 不適応可塑性

一般に大脳の可塑性は、新しい運動能力を習得するための、神経系の有益な適応過程とみなされている。しかし、変化のすべてが最終的に有益であるとは限らない。 特に音楽家が、同時かほぼ同時に行う精緻な複数の動作を含めた、複雑で同じ内容の反復練習を脳に…

変化2 感覚野と運動野の結合ミス

長期的に繰り返し手を使用すると、感覚情報を収集するニューロンの端末と大脳皮質の各領域とのつながりや、大脳皮質の運動野、感覚野、聴覚野の機能的組織化に変化が生じる。楽器演奏の知覚を司り、動作を命令する皮質ニューロンの数が変化するためで、演奏…

神経・筋組織で発見された変化1 抑制メカニズムの欠損

筋紡錘から大脳皮質の介在ニューロン(感覚ニューロンから運動ニューロンへ刺激を伝達する)まで、神経・筋組織での様々な変化のうち、音楽家のジストニアについて科学的発見が集中しているのは4つの分野。①抑制機構②情報処理と統合③神経可塑性④運動プログ…

原因5 神経伝導障害

末梢神経の伝導障害が、ジストニアの発症に大きな役割を果たしていると言われる。ジストニアを持つ音楽家の40%に尺骨神経障害がある、とチャーネスは指摘した。この神経障害は演奏中に薬指と小指の不随意な屈曲が起こる音楽家の77%に存在するとし、チ…

原因4 生体力学的制限

ジストニアを発症した音楽家は、指を独立して動かす能力や、前腕と肩を回転させる能力が衰える傾向がある。関節の運動制限だけでなく、腱と筋肉の結合によっても筋負荷が増加し、これを代償するため他の筋肉を利用する必要が生じる。 こうした変化により、障…

原因3 習慣の変更

ジストニアの最初の症状は、肉体的にも精神的にもストレスのかかった時期に起こった、と述べる音楽家が多い。テラッサ芸術医学生理学研究所が、最初にジストニアを発症する直前に何かしらの変化を経験した音楽家の変化の内容別人数を調べた結果(複数回答)…

原因2 精度の高い定型的反復練習

生涯を通じて非常に正確かつ技巧的な動作を、より完璧にするために全力を尽くしているプロの音楽家は、演奏する際に必要な動作の強弱、圧力、密度、速度、独立性などを操る方法を学ばなければならない。さらに聴衆の前で演奏するプレッシャーを感じながらも…

ジストニアの原因1 脳の可塑性

楽器の演奏には膨大な運動と感覚訓練が必要だ。通常幼少期から始められる訓練の結果、脳の再構成が行われ、未使用の神経結合が急速に活性化し、新しい神経結合が作り上げられる。こうした神経系の再構成と再適応の能力は、大脳の可塑性によるもので、それに…

発症の特徴(メモ7)

ジストニアは、演奏能力を完全に修得した後に現れ、その途上では現れない。発症する音楽家の年齢は高めで、高いレベルで長時間演奏し、ほかの反復動作に起因する疾患にもかかったことのある人に多い。 発症前の一日あたりの練習時間と、発症年齢には逆相関の…

ジストニアの患指と代償指(メモ6)

ジストニアが見られる手には、「患指」と呼ばれるジストニアを呈する指と、たいてい一本以上の「代償指」と呼ばれる代償動作を行う指が見られる。 患指は脳からの歪んだ命令を受けている指で、最も強い緊張が見られ、手のひら側へ屈曲する傾向がある。代償指…

声楽ジストニアの特徴(メモ5)

歌手のジストニアは、歌唱中の喉頭筋に症状が現れる突発性局所性ジストニア。会話中にのどが締めつけられたような不自然な声になるもので、喉頭内転筋群に最も症状が出やすい。 突然声帯が閉まるため、声がしわがれたり、途切れたりする。外転筋群の痙攣性発…

楽器の種類による症状の特徴(メモ4)

ピアニストには薬指と小指の屈曲傾向、ギタリストには中指の屈曲傾向、バイオリニストには左手の薬指と小指の強い屈曲傾向、クラリネット奏者には中指の過伸展傾向が見られる。 発症頻度の高い指の組み合わせは、鍵盤楽器の場合、33%に薬指と小指双方の発…

ピアニストの症状の特徴(メモ3)

ピアニストの場合、中指と薬指の屈曲、そして人差し指の伸展を訴えることが多いという。最も多いのは、(中指の屈曲を伴う)薬指のジストニアか、(薬指の屈曲と代償反応による人差し指の伸展を伴う)中指のジストニアだという。

ジストニアの特徴的な症状(メモ2)

演奏中、ある特定の動作を行うときにのみ症状が現れること。楽器を使わなければ、同じ動作をしても症状が出ないか、緩和することが多い。 興味深いのは、どのような音楽家に発症するかという研究で、ほとんどの場合、ジストニアは一日に何時間も演奏するよう…

音楽家のジストニアとは何か(メモ1)

ジストニア(Dystonia)は、高度の複雑さと正確さを必要とする反復動作を、長年にわたって行ってきた局所的身体部位(指、手、腕、唇、喉など)に発症する。症状に共通する点は、不随意的に、動かそうとする筋肉と相反する動作を行う筋肉が、同時に収縮を繰り…

ハナズオウ

毎年4月になると、葉に先立って紅紫の小さな花群れを付ける。 ハナズオウ。 漢字では花蘇芳と書くようだが、刺のある黄色い蘇芳(スオウ)とは、別種のようだ。 楚々としたたたずまいは、チャイナドレスの似合う少女のよう。 原産国は中国。妹が船橋から来…

遺体

3年前 茨城で東日本大震災に被災した者として いつか このテーマに向き合わなければと 感じていた

現行憲法を読んでみる

知人たちの企画で6月に日本国憲法の抜粋朗読会が開かれる。 護憲、改憲という前に、自分たちがその憲法のもとで育ってきた現行憲法を、ちゃんと読んでみようというのが、その趣旨です。 膨大な全文の中から、前文、9条、11条、12条、13条、25条、…

ピアニストのジストニアとフェルデンクライスメソッド(クリップ・メモ)

ジストニアに罹患したピアニストの、フェルデンクライスレッスンを受けた後の感想。「フェルデンクライス・メソッドの応用」ジストニアから回復し、前よりも改善できたのは、フェルデンクライス・メソッドによるのが大きいです。 フェルデンクライス・メソッ…

原始反射が残存してしまう理由(クリップ・メモ)

○クリップ・メモ ADHDと原始反射が残存する理由 原始反射が統合されずに残存してしまうのにはいくつかの理由があります まず一つは、原始反射が発達すべき時期に、適切な運動をしてこなかった事です。 これは、赤ちゃんが良く動けるように親が環境を作ってあ…