3.音楽的な動作特異性を考慮した訓練

 実際に楽器を用いて再訓練を行う際の難点は、楽器練習中にジストニアの症状が現れることを避けようとしてしまうこと。筋緊張や代償作用が生じたり、また自由に動作することなく一連の動作を反復しても意味がない。そのため、楽器を用いた訓練方法は、原則として動作を解放する方法を見つけることを基礎にしている。
 しかし、手、あるいはアンブシュア(楽器を吹くときの口の形、その機能)の動きを解放するだけの変更を行った場合に得られるのは、感覚トリックと非常に似たもので、結果的に高い確率でジストニアが再発する。
 テラッサ研究所やその他の研究者の訓練は、根本にある障害を正常化するための方法を含めている。それらには、スローダウン・エクササイズ、感覚運動再帰訓練、そして複数の動作の再訓練の結果を連鎖させる戦略などがある。