スローダウン・エクササイズ

 サカイが2006年に提起したスローダウン・エクササイズの訓練手順は、次の通り。


1.ジストニア症状が現れる音楽作品を選ぶ。
2.メトロノームを使って、ジストニアによる運動障害が現れなくなるテンポまで、演奏のテンポを下げる。その演奏テンポを記録しておく。
3.2週間毎日30分、選んだ作品を演奏する。
4.2週間後、演奏のテンポを10%から20%の範囲で上げる。それで症状が現れなければ、そのテンポで2週間演奏を続ける。症状が現れた場合は、以前のテンポに戻す。
5.2週間後、4.のステップを繰り返し、徐々にテンポを上げていく。


 サカイの訓練には20名のピアニストが参加し、その全員に一定の改善があったといい、またそのうちの12名は完全に改善し、その後の演奏に支障がなくなったと報告した。
 一方で、この方法の課題は、訓練が平均で2年という長期間続けられ、症例によっては6年に及ぶ可能性もあること。
 またテラッサ研究所は、演奏テンポに関して、ジストニアの症状はどんなに遅いテンポであっても出現してしまうため、症状から解放された状態を出発点に、動作を強化していくというその出発点がない、と疑問を投げかけている。