変化3 不適応可塑性

 一般に大脳の可塑性は、新しい運動能力を習得するための、神経系の有益な適応過程とみなされている。しかし、変化のすべてが最終的に有益であるとは限らない。
 特に音楽家が、同時かほぼ同時に行う精緻な複数の動作を含めた、複雑で同じ内容の反復練習を脳に強いた場合、過剰な可塑性(脳組織に変化を取り入れやすいこと)がむしろ問題になる。
 音楽家の場合、不随意な動作が発生してしまう理由の一つが、感覚・運動機能局在の無秩序な再組織化であるという。