再訓練の連続した戦略1 シャマーニュの手順

 複数の動作の再訓練の結果を連鎖させる、フランスのPTシャマーニュの治療手順は、筋肉と姿勢バランスの回復から始まり、楽器を用いての訓練に移行するもの。彼の考えるリハビリは、罹患部位のみでなく全身を包括的に、身体面と心理面の双方を考慮すべきというもの。その方法は4つの段階に分けられる。

1.深部位置感覚と身体を意識することを通して、安定してバランスのとれた体位を回復する。(約1年を要することあり)
2.楽器演奏の際に手足を動かしても体位が変わらないようにするなど、バランスのとれた体位を楽器演奏にうまく適応させることに焦点をあてる。訓練では肩甲骨を安定させる筋肉、呼吸のメカニズムを強化することに集中する。
3.目に見える様々な変形を実際に正すことで、手の自由を獲得する。そのため上肢の特定の筋肉を強化して知覚を改善する運動を行う。
4.楽器を用いた訓練を始める。音を出す際、指の力をコントロールすることには、特別な注意が必要とされる。

 この方法の最も重要な点は、リハビリテーションによってジストニアが改善するだけでなく、演奏能力を完全に取り戻すことを可能にしたことで、音楽家ジストニアは不治の病ではないことを示した。
 一方弱点は、症状が非常に重い場合、あるいは発症してから6カ月以上たっている場合は、結果が良くなかったこと、リハビリ期間が長すぎること。