ジストニアの患指と代償指(メモ6)

 ジストニアが見られる手には、「患指」と呼ばれるジストニアを呈する指と、たいてい一本以上の「代償指」と呼ばれる代償動作を行う指が見られる。
 患指は脳からの歪んだ命令を受けている指で、最も強い緊張が見られ、手のひら側へ屈曲する傾向がある。代償指は、基本的には患指と反対に伸展するが、屈曲している指がすべて患指で、伸展している指がすべて代償指だとは言えない。
 代償動作には、代償性伸展と、随伴性屈曲の2種類がある。
 代償性伸展は総指伸筋によるもので、患指に隣接する複数の指の伸展する力を強くし、筋肉の選択制を喪失させる。
 随伴性屈曲は浅指屈筋と深指屈筋の存在によって起きる。指一本の選択的屈曲は、筋収縮のレベルが弱いうちは支障ないが、筋収縮が強まると選択制が失われ、隣接する指を動かす筋繊維も収縮し始める。
 傾向的に、代償性伸展は患指から親指側の指に起き、随伴性屈曲は患指から小指側の指に起きることが多い。