変化4 運動プログラミングの欠陥

 音楽家ジストニアにおける奇妙な特徴は、発症の非常に強い特異性と言われる。例えばギター演奏で、上昇音階のアルペッジョは非常に困難なのに、同じ押弦位置と指の組み合わせで、同じ音で構成された下降音階のアルペッジョは問題なく演奏できる場合がある。また、あるギターを演奏すると発症する運動障害が、別のギターでは発生しないことがある。
 そのため、発症は単純で個別的な動作の実行で生じるというより、ある決まった手順の動作において実行が困難になる、運動プログラミングの組織化における欠陥だと推測する研究者もいる。