連続した戦略2 フィットネス及び学習に基づく感覚運動及び記憶訓練プログラム

 神経系に認められる歪みを正常化するために考案された、特別な治療手段による複数の再訓練方法を組み合わせたもの。訓練は、有酸素運動、脳の活動を高めるためのコンピュータ・プログラムの実施、そして以下の逐次訓練によって行われる。


 ○前向きの思考をする。
 ○正常動作を頭に思い浮かべる。
 ○感覚の識別を向上するためのエクササイズを行う。
 ○正のフィードバックを活用する。例えば健常側の手を鏡に映して見ることで、罹患側の手が動作を正常に行っているとの情報を入れる。
 ○楽器に手を置いたときに、手に起きる筋収縮を正常化する。(まず想像し、その後楽器に手を置いて想像する。その時間を徐々に増やす)
 ○動作を段階的に練習する。(演奏とは無関係の簡単な動作から始めて、運動の難易さを段階的に上げていく)
 ○症状が出ている時の動作と似ている動作を練習してみる。(楽器の表面を知覚する、楽器を手で操る、実際の演奏時と同じように楽器を手にとって構える)
 ○演奏時の姿勢を変える。(横になりながら演奏する、腹ばいの姿勢で演奏する、足を上にあげた状態で演奏するなど)
 ○別の筋肉を使って正しい動作を行う。(前腕筋の代わりに、手に内在する筋肉で一本の指を動かすなど)
 ○これらで十分な進展があったら、楽器を使った訓練をさらに行う。


 研究者が13名の患者を対象にこの訓練プログラムを実施した結果、感覚の識別と正常動作のスピードについて、60%から80%の改善が見られ、6カ月後に11名の再評価をしたところ、10名が演奏活動に復帰したことを報告しているという。

 この方法の長所は、ジストニアと脳の可塑性のメカニズムについての深い知識に基づいていること。弱点は、プログラムの複雑さから患者を詳細に観察することが難しいこと。演奏とは無関係の動作訓練を伴っていることで、訓練の継続的な順守が困難なこと。この方法による治療症例が非常に限られていること。