宮大工は教えない

 「宮大工は教えない」
と、棟梁の小川三夫氏(栃木県塩谷町)は言う。(2008.7.23読売)
 「例えばカンナがけは、こういう削りくずが出るようにやれ」と言われるだけ。法隆寺の鬼といわれた西岡常一棟梁に弟子入りした当初。師匠の削りくずは、向こうが透けて見える。それを窓に張って見本にした。1年ぐらい練習した。

 「教えないというのは、単に教えないわけではない。学ぼうという雰囲気がある中で放っておくということだ」(小川氏)

 5〜6年たって、「こういうやり方もあるのとちがうか」という一言で、10倍にも100倍にも伸びる時が来る、のだという。

 ただ、こういう方法が成り立つかどうかは、学ぶ側の構えにもよるという。