日常の行為のシュール

路地を挟んだお隣の、ケーキ屋さんのご主人が亡くなった。
夜、サイレンを鳴らした救急車が家の前に止まった。
2階の窓のカーテン越しに、懸命に心臓マッサージをする隊員の影が映った。
数時間後、冷たい身体になって病院から戻ってきた。

それから二日経つ。昨日は町内の皆さんとお線香をあげに伺った。

今日も路地を挟んだお向かいの一階の部屋には、
静かに横たわるケーキ屋のご主人がいる。
路地のこちら側の庭で、私は洗濯物を干している。
洗濯物をほすという行為が、これほどシュールなものに感じたことはなかった。