玄関を開けると、モンペに地下足袋の見知らぬおばさんが 立っていた。 「おひとつ、どうですか?」 背中の背負い籠を下ろしながら、籠の中に目をやった。 ボタンの小さな苗がいくつも入っていた。 50年前のその時のやり取りを、今でも覚えている。 私はまだ…
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